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褐虫藻の手紙
はじめまして。褐虫藻です。みなさんぼくをご存知ですか?
ぼくはサンゴさんの中に住ませてもらっています。家を提供してもらうかわりに、ぼくもサンゴさんの世話をしています。(共生といいます。)
ぼくは、光を浴びて光合成をするのですが、その時にサンゴさんのご飯、炭水化物を作っています。それから、酸素も作っていますので、お役に立たせていただいていると思います。
目に見えないので普段は目立たないですが、ぼくもけっこう頑張っています。
褐虫藻の悩み
ぼくたちが共生できるのは、好日性といって、光が好きなサンゴさんだけです。
光を与えていただければ、もちろんぼくたちも頑張りますが、好日性のサンゴさんの役にしか立ちません。それに、ぼくたちが作るごはんは“炭水化物”。
でもサンゴさんにはその他の栄養素も必要です。ぼくたちだけではサンゴさんのご飯は十分とは言えません。
さて、それでは光を必要としない陰日性のサンゴさんたちはどうやってごはんを食べるのでしょうか?答えは、海中のプランクトンや魚の餌のおこぼれを自分で取り込んでいるみたいです。自然界ではうまくいっても、みなさんのアクアリウムの中では自然界と同じ様にはいきません。
これはもう、人間の力をお借りしたい!!
褐虫藻の願い
人間の皆さんにお願いしたいのはまず、サンゴさんに光を十分に与えることです。ぼくたちも頑張って光合成をします。
それから、サンゴさんやイソギンチャクさんに餌を与えてください。特に、陰日性のサンゴさんには、ぼくたちは役に立たないので気を使ってあげてください。
スモーガスボード
スモーガスボードはサンゴ(特に、ポリプの小さなサンゴ)や、プランクトンをこして食べる無脊椎動物に与えるための液体フードです。エビや小さな魚などにも与えることができます。
こんなふうに栄養分を摂取している生物に最適。
- ポリプの小さなサンゴは、海水中に含まれる微細なプランクトンなどを直接吸収しています。
また、好日性のものは、ポリプ中に共生している褐虫藻が、光合成を行うことによって出す炭水化物を栄養分としています。陰日性のものには褐虫藻が共生していないので、特に給餌が必要です。飼育環境において定期的に高タンパクな餌を与えることにより、さらに代謝を活性化させ、順調な成長を促すことができます。
(例えば)ミドリイシ、アザミサンゴ、ショウガサンゴ、ハナガササンゴなどに!
- Q好日性のサンゴには、光を与えれば餌を与えなくていいの?
- Aいいえ。そんなことはありません。自然界のサンゴは、プランクトンなどを捕獲することによってその他の栄養分を取り込んでいます。光を与えれば、褐虫藻が光合成を行い、炭水化物を出してくれますが、これだけではその他の栄養素を十分取り込めません。飼育環境内では、足りない栄養素も補う必要があります。
スモーガスボードは……
- 微粉砕したイーストを含み、ビタミン、ミネラル、その他の構成要素を強化した液体フードです。
- サンゴやフィルターフィーダーは夜に動きが活発になります。その時間帯にスモーガスボードを与えるのが良いでしょう。
- 海水がにごりません。
- プロテインスキマーの泡に影響を与えません。
グルメガンボ
グルメガンボはサンゴ(特に、ポリプの大きなサンゴ)や、プランクトンをこして食べる無脊椎動物に与えるための液体フードです。エビや小さな魚などにも与えることができます。
こんなふうに栄養分を摂取している生物に最適。
- ポリプの大きなサンゴは、海水中に含まれる微細なプランクトンなどを直接吸収したり、魚の食べ残しなどを直接取り入れたりして餌にします。
また、好日性のものは、ポリプ中に共生している褐虫藻が、光合成を行うことによって出す炭水化物を栄養分としています。陰日性のものには褐虫藻が共生していないので、特に給餌が必要です。飼育環境において定期的に高タンパクな餌を与えることにより、さらに代謝を活性化させ、順調な成長を促すことができます。 - イソギンチャク、ケヤリも餌を取り込んで吸収します。
(例えば)ヒユサンゴ、コハナガタサンゴ、イボヤギ、エダイボヤギ、ウチウラタコアシサンゴ、ナンヨウキサンゴ、ジュウジキサンゴなどに!
グルメガンボは・・・・
- スピルリナが分散されて含まれ、ビタミン、ミネラルをたくさん含んだ液体フードです。
豆知識!スピルリナってなに?
スピルリナとは、藍藻類に分類される、藻類の一種です。たんぱく質、糖質、脂肪酸、ビタミン、そのほかカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。5大栄養素を備え持つ、すぐれた栄養分です。
- サンゴやフィルターフィーダーは夜に動きが活発になります。その時間帯にグルメガンボを与えるのが良いでしょう。
- 海水がにごりません。
- プロテインスキマーの泡に影響を与えません。
ターゲットフード
ターゲットフードは、大型の無脊椎動物のための液体フードです。
専用の注射器がついており、餌を与えたいものに直接餌を与えることができます。海水の中に入るとゲル状に固まるので餌が水中に広がらず、無脊椎動物の口のところへうまく給餌することができます。
こんな生物に最適。
- 大型の無脊椎動物、例えば単独棲息するイソギンチャク、ケヤリ、エビその他甲殻類に。
- その他固着性無脊椎動物や、ゆっくりと動く無脊椎動物にも向いています。
ターゲットフードは・・・・
- ターゲットフードには専用の注射器がついています。プラスチックチューブを注射器にとりつけます。
- 適当な容器にターゲットフードを少し分け、注射器で吸い込み、1滴か2滴静かに押し出して与えましょう。
- スピルリナが含まれた液体フードです。
あなたの飼っているサンゴが、好日性または陰日性のどちらに属するかは以下の表を参考にしてください。
ソフトコーラル
- ソフトコーラル(好日性)
骨格を持たないサンゴで、褐虫藻を共生させている。給餌以外にたくさんの光量が必要。
例:
- ウミキノコ(ポリプ小)
- ウミアザミ(ポリプ小)
- ディスクコーラル(ポリプ小)
- イエローポリプ(ポリプ小)
- マメスナギンチャク(ポリプ小)
- ソフトコーラル(陰日性)
骨格を持たないサンゴで褐虫藻を共生させていないので照明は不必要。給餌が必要だが、この仲間のほとんどは口が小さく,積極的な摂餌をしないため、長期間の飼育は困難。
例:
- キバナトサカ(ポリプ小)
- コルトコーラル(ポリプ小)
- トゲトサカ(ポリプ小)
- ヌメリトサカ(ポリプ小)
- ビロードトゲトサカ(ポリプ小)
- ベニウミトサカ(ポリプ小)
- ヤギ(ポリプ小)
ハードコーラル
- ハードコーラル(好日性)
骨格を持つサンゴの仲間で、褐虫藻を共生させて栄養分を吸収している。給餌以外にたくさんの光量が必要。
参)造礁サンゴ
例:
- アザミサンゴ(ポリプ小)
- ショウガサンゴ(ポリプ小)
- ハナガササンゴ(ポリプ小)
- ハナヤサイサンゴ(ポリプ小)
- ミドリイシ(ポリプ小)
- オオナガレハナサンゴ(ポリプ大)
- オオハナサンゴ(ポリプ大)
- クサビライシ(ポリプ大)
- コエダナガレハナサンゴ(ポリプ大)
- コハナガタサンゴ(ポリプ大)
- ナガレハナサンゴ(ポリプ大)
- ハナガタサンゴ(ポリプ大)
- ハナサンゴ(ポリプ大)
- ヒユサンゴ(ポリプ大)
- ミズタマサンゴ(ポリプ大)
- アオサンゴ
- アナサンゴモドキ類
- オオタバサンゴ
- キクメイシ
- クダサンゴ
- ハードコーラル(陰日性)
骨格を持つサンゴで褐虫藻を持たないため,鑑賞以外での照明の必要はない。栄養分は摂餌のみのため、好日性のサンゴよりも頻繁な給餌が必要。
例:
- イボヤギ(ポリプ大)
- ウチウラタコアシサンゴ(ポリプ大)
- エダイボヤギ(ポリプ大)
- ジュウジキサンゴ(ポリプ大)
- ナンヨウキサンゴ(ポリプ大)