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殺菌灯について
そもそも紫外線てなぁに?
光の中には、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波があります。光には波長がいろいろあって、私達が見る事のできるものは、可視光線という名前がついています。ちなみに可視光線の波長は400nm(ナノメートル)~780nmです。一方、紫外線は、波長の短い順に、UV-C、UV-B、UV-Aの3種類に分けられています。それぞれの波長は下記の通りです。
- UV-C(100~280nm)
- UV-B(280~315nm)
- UC-A(315~400nm) CIE(国際照明委員会)
病原菌などの殺菌に利用される波長は、UV-Cのうちの253.7nmという波長です。
253.7nmと殺菌・消毒
紫外線のうち、UV-C253.7nmは、もっとも殺菌効果があるとされている波長です。具体的には、どうして253.7nmがよいのでしょうか?こまかい話になりますが、UVによる殺菌は、病原菌の細胞内にある核酸(DNA)に、UVが吸収される事によって行われると言われています。
上の図をご覧ください。UV-C253.7nmが直接、病原菌の細胞に作用し、核酸の分子を変化させます。(この波長がもっとも吸収されやすい。)すると、細胞が正常な新陳代謝をすることができなくなり、病原菌の増殖が抑えられ、または殺菌されるというわけです。
ですから、殺菌灯はUV-C253.7nmが多く出るものの方がより効果が大きいという事ができます。
殺菌灯はどんなことができる?
観賞魚、とくに海水魚を飼育されている方は、病気を防ぐために殺菌灯を使われる場合が多いようです。
けれども、殺菌灯は、海水魚にだけ使うべきなのでしょうか?ここからは、殺菌灯はどんな事ができるのかを考えてみたいと思います。
- 殺菌・消毒
これまで述べてきた通り、そしてその名前の通り、殺菌灯は飼育水に紫外線をあてる事によって、殺菌・消毒をすることができます。したがってその水の中で飼育されている魚などは、病気になりにくくなります。これはもちろん、海水だけでなく、淡水にすむ魚やカメの飼育水にも利用する事ができます。
殺菌灯が値段の安いものではないので、淡水魚全部に使用する事はお勧めできません。けれども、淡水魚でも高価な魚がありますね。例えば、アロワナやディスカスなど。これらの飼育水に殺菌灯を使用することも考えられると思います。是非お試し下さい。病気防御だけでなく、水の透明度がましますよ。(これについては[3]を参照して下さい。) - アオコ・コケの防御
ご自分のお庭に鯉などを池で飼育しているという方はいらっしゃいますか?「池がみどり色になっちゃって、困るんだよねー。」というお悩みがあるのではないでしょうか。殺菌灯が効きますよ。ろ過装置さえきちんとしていれば、みどりのもと、アオコを除去する事ができます。
また、水槽内にコケがはえて困っている方にも殺菌灯がお勧めです。もちろん、水槽についてしまったコケは(殺菌灯のなかを通らないので)なくなりませんが、水中にあるコケの胞子を殺す事ができます。上記のアオコもそうですが、UVが植物の細胞に直接はたらくのです。 - 有機物の分解・脱色・脱臭
飼育水のなかには、餌のかすやフンなど、さまざまな有機物が含まれています。殺菌灯を使う事によって、この有機物は分解されます。また、殺菌灯は飼育水を脱色・脱臭する効果ももっているといわれています。ある水産試験場では、黄褐色になった飼育水に殺菌灯を使用する事で、かなりの有機物の処理、脱色に成功したそうです。
飼育水の透明度を増すために、殺菌灯を利用してみてはいかがでしょうか。水がピカピカだと、魚もきれいに見えるかもしれませんね。 - プロテインスキマー
みなさんの中にはプロテインスキマーをお使いの方もいらっしゃると思います。[3]で述べましたように、殺菌灯の中をとおった水に含まれる有機物は、分解されます。 殺菌灯とプロテンスキマーを併用することでより効果的に有機物を除去することができます。 - 環境にやさしい
薬を使って水槽水を消毒すると、水槽内の生物にまで害がでる可能性があります。紫外線殺菌灯は、殺菌・殺藻剤とちがって、残存性がないので安心してお使い頂けます。 - 殺菌灯使用における注意
最後にひとつだけ。これまででお分かりのように、紫外線殺菌灯には病原菌を殺したり、有機物を分解する能力があります。ですから、魚が病気にかかって、薬を使った時は、殺菌灯をつけたままだと薬の成分も変化してしまいます。つまり、その薬の効果がなくなるわけです。
病気の魚などを薬浴させる場合は、殺菌灯の設置してある水槽とは別に薬浴させることをお勧め致します。
さて、みなさん長々とお読み頂きましてありがとうございました。
紫外線の魅力、お分かり頂けましたでしょうか?もちろん、直接みたり、浴び過ぎたりすると大変なことになりますが、上手に使うことによって、さまざまな効力が期待できます。
みなさんの飼育されている生物のために、どうぞ参考になさって下さい!